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「本当はまだ秘密にしておきたいのだけど、わざわざ尋ねてきてくれた君たちのために特別に見せてあげるよ。」

1996年秋、イギリスの南端にある小さな町ワーシング。彗星のごとく登場し話題を集めたオーラデザイン社の工場は、プレハブだったが新しく清潔感のある建物だった。社長のマイケル・トゥが奥から持ってきたのは未完成のモックアップだったが、そこ居合わせた3人の日本人の長く辛い帰りの航路を、明るく希望に満ちた時間に変えてしまうのに十分なものだった。

オーラデザイン社は、一人のオーディオ好きの若者が立ち上げたメーカーで、零細企業お決まりの資金難で身動き取れなくなったところを、B&Wの当時の社長トム・トゥルンツに拾われた。

オーディオ好きはエンジニアではなかったが、シンプルで小ぶりなデザインのアンプをプロデュースし、社長としてAuraを成功に導いたのだった。だが信じられないことにその希望の星が製品化されることはなかった。親会社の意向でオーラデザイン社は閉鎖。会社を去ったマイケルがひっそりと持ち帰ったモックアップは、日の目を見ることはなかったのである。n o t eは、ロンドンの有名なデザイン会社「ペンタグラム」を主宰するケネス・グランジ氏によってデザインされた。それはAuraのアイデンティティであるミニマリズムを踏襲した美しいCDレシーバーで、当時のAuraにとってそのカテゴリーはひとつの到達点であった。

英国製Auraは10年足らずの短命であったが、その強烈な個性で今も多くのファンを魅了している。しかし、存在する全ての英国Aura製品は、忘れられたターニングポイントが存在する限り、そのストーリーを終えることも朽ち果てることも許されない。最終楽章はやはり演奏されるべきなのだ。2006年、たくさんの人の協力と応援によってn o t eに命が吹き込まれた。10年前マイケルの手にあったモックアップを目にしたとき感じた戦慄が再び訪れ、止まっていた時間が動き出した。

 

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